オープンそして長蛇の列

オープン間際、弊社の大きな商談テーブルにかりんとうの食品サンプルがズラーッと並びました。これからディスプレイの準備が始まるのです。嬉々としたスタッフ達の表情を今でも鮮明に憶えています。

そして麻布十番にお店がオープンしました。ドキドキしながらお店を訪ねるともうすでに長蛇の列が出来ていました。私が狙った「素敵でナイスな奥様」が多く並んでいますが、その間にぽつりぽつりと普通のおばあちゃんやおじいちゃんが並んでいました。
そうか、若い世代に向けて「新しい和のブランド」を創ろうとずっと考えて開発したブランドだったが、この美しい売場はかりんとうを愛してきた昔の世代にも何か共感を与えるチカラを持っていたのか。私のターゲット設定はいい意味で裏切られる結果となったのです。

そしてその長い列とオープン時の店内の熱気と、そんな風景を見ながら、
私はこのプロジェクトは成功すると直感した瞬間でもありました。

新しいブランド開発が
かりんとうの価値観を変えた

私の予感は当たり「麻布かりん」はテレビで取り上げられ、スタイリストやヘアメイクさんたちのスタジオへのお土産として定着したことで、さらに人気は急上昇していきました。とんとん拍子にお店は増えていきました。
お店には流行に敏感な女子高生までもが並ぶようになっていました。

そして麻布かりんとの大ヒットから1年ぐらいが過ぎた頃、私はクライアント数名と会食をしていました。その時に30歳代の女性が言った言葉が今でも忘れられないのです。

彼女はこう言ったのです。
「本当に、かりんとうってオシャレですよね。選んでいるとワクワクしてきます」

数年前に開発ミーティングでウチのスタッフたちが
ダサイとか古くさいとか言われていたあのかりんとうが、彼女にとってはとてもオシャレで素敵なお菓子に生まれ変わっていたのです。

私はその価値観の変革に、本当に驚かされたことを憶えています。
それは私にとってひとつのパラダイムシフトが起きた瞬間だったのです。

新ブランド開発の仕事は細かい取材や競合チェックなど地道な作業を積み上げていく辛い一面もありますが、コミュニケーション変革がうまくいき、そのブランドがうまく立ち上がった時には、この世の中の常識さえも変えてしまえるとても素敵な仕事なのだと思っています。

『包装技術』新春号に寄稿するにあたり、あえて言わせていただきたい。
「ギフトパッケージの印象がその中身のモノの価値観までも変えることがあるのです」

その真実を胸に刻みながら、
「包装のチカラ」を信じる一年のはじまりにしたいものです。

代表取締役 中尾英司執筆
2019年1月号『包装技術』寄稿文より抜粋

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